[発酵のお話]
6月も中盤を過ぎ、暑さが本格的になり、お酒がすすむ方も多いのではないでしょうか。
発酵のお話第三回は、日本酒造りについてご紹介します。
お酒といえば、近年は日本酒が日本国内にとどまらず、世界的に広まりつつあり、特に今までは敬遠しがちであった若い女性を中心に日本酒の良さが見直されています。
そんな中、今回は、昔ながらの樽を使って…とまではいきませんでしたが、大きな工場でつくる酒蔵見学を通して勉強した発酵についてお伝えします。
発酵のお話第三回は、日本酒造りについてご紹介します。
日本酒とは何か?
日本酒とは米と麹と水を主な原料とする清酒であり、日本特有の方法で醸造されたお酒で、「醸造酒」に分類されます。
醸造酒とは、原料を酵母により、蒸留などの作業を経ずアルコール発酵させて作られたお酒です。アルコール発酵させたままの状態で飲まれるので、一般的に蒸留酒に比べてアルコール度数は低いものが多いです。
例)
醸造酒…清酒・ビール・ワイン
蒸留酒…ブランデー・ウィスキー
醸造酒の中でも、大量のグルコースを用いて糖化を行わず発酵のみで出来たお酒を「単発酵酒」といい、果実由来のワインはこの単発酵酒にあたります。
また、デンプン原料の糖化とアルコール発酵を同時並行的に行って出来るお酒を「複発酵酒」といい、大麦や穀類が由来のビールや、米由来の清酒はこの複発酵酒にあたります。
清酒の命・米麹
清酒の品質を決める上で最も大切な要素は米麹の出来です。
『一、麹 二、酒母 三、もろみ』
というように、酒の味わいは米麹によって決まります。
では、この米麹はどうやってできるのでしょうか。
そもそも米麹とは、「米に麹菌(コウジカビ)を繁殖させたもの」です。
※カビといっても食品用なので無害です。
麹菌にはデンプンやタンパク質を分解して、糖類やアミノ酸を生成する“糖化”という力があります。この性質を利用し、“デンプンばかりの米”から“糖類へ分解された米”へと変化させたものが「米麹」です。
そして、デンプンから分解されて出来た糖を酵母が食べる過程で発酵が起こり、アルコールと二酸化炭素に分かれます。
この「糖化と発酵の過程」が清酒造りの基本段階です。
仕込み
清酒造りは酵母を健全に増殖させていく為に、蒸米を何回かに分けて仕込みます。
これを「段仕込」といいます。
最初に仕込むものを「酒母(もと)造り」といい、本仕込みの前に水・乳酸・酵母・蒸し米を順に混ぜ合わせます。
そして本仕込みは“添仕込・仲仕込・留仕込”と3度にわけて仕込む為、「三段仕込み」といわれています。
水・麹・蒸し米を少しづつ増やしながら仕込みタンクに入れていきます。
もろみ
三段仕込みの後、絞りにかけるまでが発酵期間となり「もろみ日数」といいます。
約20日間かけて糖化と発酵をバランスよく低温発酵していきます。
上槽(絞り)
低温発酵したものを“槽(ふね)”という圧搾機にかけ、「清酒」と「酒粕」に分離させてゆっくりと絞られます。
これらの酒造りの過程を経て作られた上質な酒粕もいづ藤のお漬物には欠かせないものであり、良い酒粕は良い酒造りありきなのだと改めて感じました。
良い酒造りには、「良いお米と良い水」が必要であり、さらにはその良いお米と良い水は、「農家の方の努力と自然の力」が必要です。
私どもの漬物づくりはそういった自然の恵みと様々な方の努力の上に成り立っています。
『漬物づくりを通して、良いものをつくり、繋いでいく。』
全てに感謝し、“ほんもの”の味で感謝を形にいたします。